研究室の指針

いつの時代も言われていることなのかもしれないのですが、今日の有機合成化学と創薬は変換期に差し掛かっているのは紛れもない事実のようです。ある程度の分子であれば我慢すれば合成でき、薬になりやすいものはほとんど薬になってしまった。アジア諸国の研究レベルの向上により、やればできるプロジェクトは、量的に勝る研究室が最初にやることになるでしょう。東大薬という日本でもっとも優れた学生がいる研究室では、不可能を可能にする真にぎりぎりの最先端の研究をやりましょう、というのが現段階での私の方針です。何事も人の後についていくのは簡単ですが、私たちは牽引役になりましょう。東大という恵まれた環境にいる以上、これは私たちに与えられた使命です。

私が一番嫌悪する言葉は、どこで読んだか覚えてませんが、「晩年のアインシュタインは、自分が生きている間にできそうも無いテーマに取り組んだところが駄目だった」 というものです。自分の人生であって、お前に評価されるために生きてるんじゃないよ。チャレンジこそ我が人生、チャレンジこそ東大薬の使命だと思います。一生懸命やるだけやって、成否は天に預けます。プロジェクトの成果は、すべて学生さんの日々の努力から生まれます。皆さんが本当の意味で、世界最先端です。是非、最先端研究のわくわく感を体験してもらいたい。私たちの研究室はその場を作りうる研究室です。

学生さんに私が期待する人材像は、
1.コミュニケーションが取れ、議論の中から新しい方向性を創造できる
2.素直で誠実
3.難度の高いプロジェクトを楽しくできる
の3点です。自分たちに与えられた使命を意識しながら、いきいきとがんばりましょう。

金井 求

Essays (PDF)

淡青評論:夢を語ろう
遠心力:当研究室の人材育成方針について
胎動: 4月以降の有機合成化学教室の方向性

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